4月19日発行の"Nature"特集の日本語訳(弊社にて編集・翻訳、未定稿)

肺癌に対する新たな二重特異性抗体 “YY0411

弊社が開発中の二重特異性分子標的薬“YY0411”が肺癌治療に大きな改革をもたらす画期的な治療薬として評価され、4月19日発行の国際学術誌Natureの特集に採り上げられました。そして、“YY0411”は現在非臨床試験に進み、近くこれを完了し、臨床試験フェーズⅠへ展開しようとしています。

肺癌に対する新たな二重特異性抗体 “YY0411 

“YY0411の構造を表した図
“YY0411の構造を示す3D画像

 

 二重特異性抗体は、2種類の特定の抗原への結合部位を有することが特徴です。一般的に標的癌細胞とT細胞に同時に相互作用することで、癌細胞をより効果的に死滅させます。Sun-Bio Medical Device社が上海市肺科医院と共同開発した“YY0411”は、肺癌の治療により効果的に役立つようデザインされた新たな二重特異性抗体です。

“YY0411” の新規性

・YY0411は、肺癌の一因となる2種類の遺伝子であるHER2とVEGFの双方を標的とした、初の二重特異性抗体。
- HER2(ヒト上皮増殖因子受容体2型)は、細胞の増殖、生存、および浸潤に重要な役割を演じる。
- VEGF(血管内皮増殖因子)は新たな血管の増殖を促進し、その結果がんの進行や転移が助長される。
・YY0411は、高い抗原特異性と腫瘍標的性を持つ独特の構造を有する。
- 小型のペプチドリンカーで連結された、HER2およびVEGFに結合する重鎖を持つ。
- 互いに影響しない2本の独立した重鎖を持つが、HER2、VEGF、HER2 + VEGFに結合する能力も向上している。
・早期および進行期肺癌の両方に適用できる潜在的可能性がある。

“YY0411” の優位性

・癌細胞増殖阻止能力が向上している。
- HER2およびVEGFを効率的に認識し、阻止する。
・癌細胞によるシグナル伝達経路の補償を効果的に減少させる。
・モノクローナル抗体の100倍から1,000倍の抗癌作用を有する。
・10,000人以上の肺癌患者に対するスクリーニング試験の結果に基づいて、HER2およびVEGF分子による160通りの異なる組み合わせから選抜された。

“YY0411”の使用では、相乗作用による治療と、患者が薬剤耐性反応を示す可能性の減少とが結び付き、強力な抗がん治療を実施できる潜在的可能性があります。

 世界中で大きな問題となっている肺癌

肺癌の死亡者数は世界的に多く、日本においても、がん死亡の20%が肺癌によるものです。
(独立がん研究センター 最新がん統計 2016)

 弊社の研究開発チームの分子生物学的試験により新たな二重特異性抗体”YY0411”が発見されました。”YY0411”は、最も致死率の高い癌である肺癌に対し、2本の角(つの)により効果的に攻撃できる全く新しいる抗体です。

肺癌治療薬開発の重要性
 肺癌による死亡者数は他のどの癌よりも高く、世界保健機構によれば、2015年には169万人が肺癌で死亡しており、また日本でもより深刻な問題になりつつあります。この疾患に有効な方法を探し出すことは、弊社、Sun-Bio Medical Device株式会社の研究開発チームの主要な目的の一つです。我々は、同済大学の関係機関である上海市肺科医院の研究者らと共に、肺癌細胞のシグナル伝達系の二成分を阻害する二重特異性抗体を開発致しました。前臨床試験の結果から、早期および進行期の患者にとって有望な反応が得られることが既に示唆されています。

中国でも深刻化しつつある肺癌の問題
 中国においても過去10年から15年の間で増加傾向にあります。政府がまとめた最新の推計によれば、2015年には中国で新たに730,000人が肺癌に罹患したことが示唆されており、これは同年の全世界における肺癌罹患者数の36%、また中国で新たに癌にかかった430万人近くの患者の17%を占めることを意味しています。

「喫煙による肺癌は減少していることが研究により示されています」(楊洋:同済大学高等研究院准教授、弊社の主要研究開発チームの一人)。特に女性や子供など、喫煙の可能性が低い集団から新たな罹患者が出ていることから、中国の酷い大気汚染が肺癌発現率の全体的な増加の原因であると疑われています。治療技術の向上によって5年生存率は延びているが、発現率の増加や膨大な死者数によって肺癌の効果的な治療法が強く要求されることとなりました。

「細胞のシグナル伝達経路の調節異常は細胞増殖をもたらしますが、これが肺癌の主な原因となっています」(楊洋)。肺癌の腫瘍に高い多様性があることは分子生物学者によって既に示されており、このことは患者の病変が各人固有のものであり、個別の治療計画が求められることを意味する。個人の細胞シグナル伝達の調節異常に関する固有の標的を特定することは、最も困難な仕事です。

 二重特異性抗体 “YY0411は、肺癌のドライバー遺伝子2種類を標的とし、

  癌細胞を死滅させる効果が高い

取締役
武漢大学上級研究所 准教授
尹 偉

私たちの目標はHER2とVEGFの両方を同時に標的とする二重特異性抗体を開発することでした。このような抗体はこれまでの研究成果では発見されておりません。全く新しい抗体です。

大阪大学大学院医学系研究科 教授
奥村明之進

今日、肺癌の治療は急速に進歩しています。30年前は患者への負担の低い手術は選択肢にありませんでしたが、現在ではVATSと呼ばれるビデオ補助胸腔鏡手術が実施されており、患者の痛みを軽減すると同時に生存の可能性を向上させています。
同時に、内科腫瘍学も大きく前進しています。”YY0411”の発見により、肺癌患者は生存の大きな可能性を享受できるでしょう。これは、HER2、VEGFという2種類の異なる分子を標的としたまさに初めての二重特異性抗体です。この新種の抗体により肺癌の治療成績は劇的に向上するでしょう。肺癌に罹患しても生き延びる人が大幅に増えることを期待しています。

肺癌の要因となる2つの遺伝子

アジア人を対象とした大規模な調査

アジア人の集団に関連する癌の標的と遺伝子を見つけ出すため、研究者らはまず大規模なサンプルデータを分析した。「私たちの最初の問い掛けは、『東アジアの肺癌患者に特徴的な表現型はどのようなものか?』ということでした。その後、治療の標的を見極めるためさらに、『この母集団によくみられる癌のドライバー遺伝子は何か?』という問い掛けを行いました」(楊洋)。

TNM(腫瘍、リンパ節、転移)分類で知られる測定法に基づいて実施した、1,033名の中国人肺癌患者を対象とした症状と病理に関する調査では、大半の患者が「ステージⅠ」に留まっていました。この評価方法では、腫瘍の大きさ、癌性リンパ節の数、原発癌から離れて発現した二次癌(転移)を調べます。「患者の半数以上で腫瘍は11~30mmです」(楊洋)
さらに、上海市肺科医院の患者10,461名を対象に肺癌を引き起こす遺伝子を調査しました。その結果、73%の患者に上皮組織の腺状構造から生じる腺癌や悪性腫瘍の発現、これに続く15%の患者に肺の気道の内側を覆う扁平細胞から生じる癌である扁平上皮癌の発現が示唆されました。

肺癌治療薬ではあまり注目されてなかったHER2遺伝子

肺癌の主要なドライバー遺伝子の一つは、ヒト上皮増殖因子受容体2型(HER2)であることが判明しました。
HER2の過剰発現が調査対象患者の30%に、またステージⅡおよびⅢの患者の59%に検出されました。さらに、HER2シグナル伝達経路の亢進が肺癌患者の72%に確認され、この割合は病変が進行するほど増加します。
HER2は一般的に乳癌発現の一因となりますが、卵巣癌や肺癌の進行にも密接に関連しています。「しかしながら、HER2遺伝子を標的とした肺癌治療薬は多くありません」(楊洋)。HER2遺伝子に変異がある癌患者は、他の遺伝子に変異を持つ患者に比べ生存率が低いことが過去の試験で明らかになっており、このことはHER2を標的とした治療法を開発する緊急の必要性があることを示しています。「HER2は細胞の増殖、生存、および浸潤に重要な役割を演じています。HER2遺伝子が高発現している癌では転移の発生する可能性が高くなり、また化学療法剤に対する感受性は低くなります」(楊洋)

がん細胞に栄養を送る要因となるVEGF遺伝子

血管内皮増殖因子(VEGF)は、血管新生、即ち新たな血管の成長を促進するタンパク質です。このVEGFの発現も調査対象患者の60%に検出されました。さらに肺癌患者の80%でVEGFシグナル伝達経路が亢進していました。血管は版細胞の増殖に必要な栄養を送るため、VEGFは通常さまざまな癌の発現を伴います。VEGFを標的として血管新生を抑制することで、がん細胞への栄養供給を阻止して癌の進行や転移を制限することが可能になります。「そのため、私たちの目標はHER2とVEGFの両方を同時に標的とする二重特異性抗体を開発することでした。このような抗体はこれまで研究されなかったものです」(尹偉)。

標的を絞ることで革新的となった治療法

外科手術と化学療法の無視できないリスク

肺癌に対する現在の治療法は、腫瘍の病理学的ステージによって通常は切除か化学療法のいずれかになります。早期の癌患者には腫瘍を切除する外科手術が一般的には最良の選択となりますが、局所再発または他の組織や臓器への転移のリスクがあります。化学療法は、通常はステージが進行した患者に適用されますが、一般的に重篤な副作用を伴い、また患者の薬剤耐性によっては不成功となり得ます。

”二重”特異性抗体であることの優位性

モノクローナル抗体療法は、がん細胞に結合する抗体の代わりとなる人工的に作製された分子を用いるものであり、癌細胞を攻撃するために免疫系を作動させる免疫療法の一種です。化学療法が癌細胞と正常な細胞の両方を攻撃することに比べ標的がより絞られるため、より効率的に作用し、副作用の重症度が低くなる可能性があります。
米国食品医薬品局(FDA)は既に、癌治療にいくつかのモノクローナル抗体の使用を認可しており、それぞれVEGFを標的としたアバスチン、HER2を阻害するハーセプチンといった製品名で販売されています。しかしながら、ハーセプチンは一般に早期乳癌の治療に用いられますが、HER2陽性患者にハーセプチンへの薬剤耐性がしばしば出現するため、その臨床使用は制限されています。またアバスチンは通常、転移性大腸癌の治療に用いられるますが、出血や消化管穿孔のリスクがあるため、より標的を絞った効果的な使用が重要となります。
一方で、二重特異性抗体はその二重特異性から、標的腫瘍細胞と機能細胞(通常はT細胞)に同時に相互作用することができ、癌細胞をより効果的に死滅する可能性があります。実際に、二重特異性抗体はモノクローナル抗体の100~1,000倍ほどの効果があり、さらにモノクローナル抗体よりはるかに低用量で同等の効果が得られること、従って有効性と価格の両面で競争上の優位性を有することが示されております。こうしたことから、二重特異性抗体は現在、次世代の癌抗体治療法になると考えられています。

画期的な肺癌治療薬“YY0411”

弊社、Sun-Bio Medical Devices社の研究開発チームは、肺癌により有効な治療法を見つけ出すため、DNA組み換え技術を用いてHER2およびVEGFの分子から160通りの組み合わせを作成しました。候補分子を慎重に選別した後、最も高い標的性と特異性を有する新規の二重特異性抗体を選択し、“YY0411”と名付けました。
「私たちが行った分析により、“YY0411”は、HER2やVEGFに対する市販のモノクローナル抗体を単独または併用で投与した場合に比べ、HER2およびVEGFの認識と阻害により高い効果を示すことが示唆されています。またYY0411は、HER2およびVEGFとより強く結合します」(楊洋)。
さらに、“YY0411”の生物学的機能を検証する試験研究において、この二重特異性抗体はHER2やVEGFを介したシグナル伝達経路を阻止し、その結果、肺癌細胞の増殖や腫瘍の発生を抑止することを示しました。「“YY0411”の方が、HER2やVEGFに対する市販のモノクローナル抗体を単独または併用のどちらで投与する場合に較べて、良い結果を示すことは明らかです」(楊洋)。

臨床使用に明るい見通し

前臨床試験の結果は、早期および進行期のどちらの肺癌患者も二重特異性抗体“YY0411”の恩恵を受ける可能性があることを示唆しています。早期の病変がある患者に対しては、医師は切除した癌組織をリアルタイムポリメラーゼ連鎖反応法により解析し、癌の遺伝子型や発現レベルを判断した後、HER2および/またはVEGF遺伝子の過剰発現を示す患者に“YY0411”を適用します。このような個別化した治療を実施することにより、無増悪生存期間の延長が可能になります。進行した病変を有する患者に関しては、“YY0411”はHER2およびVEGF双方を効果的に阻害し、腫瘍の進行を抑止することで生存率を向上させる潜在的可能性があります。
本抗体が市場に出るまでにはさらに研究が必要ですが、肺癌に苦しむ多くの人々に届けるため、弊社の研究チームは邁進しています。「私たちは“YY0411”が強力な癌治療法となる可能性に興奮しています。次には、今後の臨床試験のためにより強固な科学的エビデンスを提供できるよう、この抗体の毒性(副作用)をさらに分析します。また他の癌の治療に使用することも検証します」(楊洋)。

  “YY0411を早く医薬品としての肺癌治療薬とする

取締役
同済大学高等研究院副教授 博士
国際及び欧州胸部外科学会メンバー
楊 洋

私は胸部外科医として日常的に肺癌患者を診ています。切除手術は現在最も有効な治療法ですが、再発の可能性は残ります。また、外科手術に適さない患者さんもいます。そのため、肺癌を効果的に制御して患者さんの痛みを軽減する非手術的な治療法があれば是非利用したいと思っています。
現在、癌治療薬を開発する上での大きな難題は、適切な治療標的を発見することです。HER2とVEGFを標的として突き止め、両者に狙いを定めた抗体を開発したのは、単調で退屈な数多くの分析を行ったからです。上海市肺科医院における多数の患者という母体や手術に関する優れた専門技術は、目的とする肺癌治療の研究開発にとって強固な基盤となります。Sun-Bio Medical Devices社は“YY0411”を医薬品としての肺癌治療薬にするために、さらに試験を行う責務を担っています。私たちは、肺癌治療のために開発した我々の二重特異性抗体の有効性に興奮しています。

 蛍光シグナルの読み取りが癌の予防に光明を投じている

Shengbiaoの装置は、蛍光シグナルの差異を強化するために細胞や組織の診断用グレースケール画像(灰色の濃淡により癌症状の有無を判断する画像)を鮮明化させます。

 蛍光シグナルの読み取り

  固有蛍光を用いて子宮頸部前癌病変と早期の子宮頸癌を発見する試験装置が生標(上海)Shengbiao Medical Equipment Technology社により開発され、予防や治療の向上に有効な手段を提供できることになりました。
子宮頸癌はよくみられる婦人科疾患であり、全婦人科腫瘍の10%を占めています。予防や制御に関する有効な方法が利用可能にもかかわらず、2015年には全世界で本疾患により270,000人が死亡しており、その大半は有効なスクリーニングが不足している途上国で発生しています。「効果的で迅速な、そして効率的なスクリーニング技術があれば、子宮頸癌のリスクは顕著に減少します」( 宋伯根:弊社取締役、上海同済大学医学部教授、及びShengbiao社長)。
物質から放出される光である蛍光は、有機化合物を分析するために生化学や医学の研究で広く用いられています。「1980年代から蛍光は、臨床現場において前癌病変や癌を発見するためのスクリーニング手段として確立したものになっています」(宋伯根)
タンパク質の多くは一度刺激を受けると光を放出する内在性色素を含んでいるため、蛍光化学物質を全く使用することなく人体の細胞のタンパク質や分子の画像化を可能にします。Shengbiaoの発明は、こうした物質が本来もつ固有蛍光を画像化する技術に基づくものです。
 「励起光の開発や固有蛍光シグナルの捕捉が重要な技術的問題になります」宋伯根)。Shengbiaoの装置は、励起光を改良するために、窒素分子レーザーではなく波長340nmの紫外線ビームを用いています。この装置では、固有蛍光を発する子宮頸部組織にあるタンパク質分子の電子を励起します。癌細胞や癌性組織におけるタンパク質の分子構造が変化すると、それが正常なタンパク質とは異なる特徴となり、その結果として異なる蛍光シグナルが放出されます。その蛍光シグナルの分析によって、子宮頸部組織の異常を明らかにすることができます。
しかしながら、蛍光シグナルはその差異があまり目立たないことがあり、また放出後すぐに消える可能性があります。Shengbiaoはその解決策として、差異を強化するためにグレースケール画像を鮮明化させる方法をとりました。装置は蛍光画像をモノクロの画像に変換することによって、蛍光シグナルを捕捉・固定し、より鮮明な画像の表示を可能にします。この結果、婦人科医はより詳細な情報を得ることができ、より正確な診断を確実に行えるようになります。
この技術の有効性は臨床試験ですでに証明されています。子宮頸部前癌病変や子宮頸癌の初期の徴候の診断に関する検出率と確度は、共に90%以上となっています。本装置は膣拡大鏡での使用も可能であり、より簡便に子宮頸部を確認できます。
Shengbiaoにより開発された本診断装置は、中国国家食品薬品監督管理局(CFDA)の安全性試験を最近通過し、大規模臨床試験を実施することが認可されました。間もなく臨床で使用されるようになると考えられ、それにより子宮頸部疾患の早期発見とより効果的な治療が可能になります。

上海交通大学医学部附属第九人民医院
産婦人科部長
劉健華

 早期診断と治療のために極めて有効

早期の診断と治療は腫瘍治療の成果を向上させる上で極めて重要です。蛍光イメージング法は、正常組織と罹患組織の差異を比較することで癌・前癌病変の増殖を明らかにできるため、悪性度の高い上皮内腫瘍や早期子宮頸癌に対する高感度な診断ツールになります。Shengbiaoの装置によって、女性の健康向上に向けて高い潜在的可能性が示されています。私たちはこの次に、より客観性のある有効な診断を行うために分光法によって画像を改良し、子宮鏡検査や内視鏡検査、さらに他の検査への応用を追求します。

 固有蛍光の医療技術への利用展望

早期発見が癌治療の成果を向上させる最も効果的な方法

癌は全世界で死亡の主原因の1つとなっていいます。もし早期に発見されれば、現在ではその多くが治療可能です。画像技術の進歩により、癌の早期診断の可能性は大幅に向上しました。その一例が、最近Shengbiaoにより開発された蛍光診断装置であり、子宮頸癌の診断と治療の向上に光を当てることになりました。
ここでは、同済大学と提携する上海市肺科医院で胸部外科部長を務め、また上海胸部外科学会会長でもある姜格寧博士による、固有蛍光画像技術と子宮頸癌の前癌病変発見への使用に関する質問と回答を掲載します。

上海市肺科医院 胸部外科部長。
上海胸部外科学会会長
姜格寧

Q: Shengbiaoが開発した固有蛍光画像技術の意義をどのように定義しますか?

癌の発現率は全世界で急速に増加しています。中国で最もよくみられるのは肺、胃、そして大腸癌であり、これらが診断される時には一般的にステージが進行しているため死亡率がすべて高くなっており、外科手術や他の有効な治療選択肢が用いられる機会が制限されます。がんの治療成果を向上させる最も有効な方法はまさに早期発見なのです。例えば、胃癌は早期に発見されれば5年生存率は90%以上に達します。ただし、粘膜に発現した前癌病変は良性変化と非常に類似しているため、発見を困難にしています。
固有蛍光を用いると、Shengbiaoが開発した診断装置によって前癌病変のリアルタイム診断が可能になり、診断の確度が向上します。この方法は女性に多発する腫瘍である子宮頸癌や、さらに肺癌など発病頻度が高い他の癌の早期発見にも応用可能であり、癌の予防と治療の向上に大きな潜在的可能性を与えるものです。

Q:固有蛍光画像法を診断に用いるにはどのような方法がありますか?

蛍光を診断に用いるには二つの主な方法があります。一つは、試験する有機体から固有蛍光を放出させるために一定の波長の光を用いることです。蛍光画像はその後モノクロの診断用グレースケール画像に変換され、病変領域を示し、病変の境界をよりはっきりと映し出します。
もう一つは、オシロスコープや拡大装置を用いて蛍光シグナルをスペクトルに変換する方法です。放出されるスペクトルのピークの分析によって、正常な組織と癌性組織の差異が明らかになります。

Q:Shengbiaoの蛍光診断装置を現在どのように使用していますか?

蛍光診断装置は現在、子宮頸癌発見のために使用しています。膣拡大鏡は病変の発見や生検標本の採取のために、一般的に外部の白色光源を用いて腟や子宮頸部を標準サイズの10~40倍に拡大しますが、蛍光診断装置はこれに比べてより効果的です。
Shengbiaoの装置は、病変の形態学的な変化の発見に単純に依存するのではなく、異なる蛍光シグナルを放出する癌細胞の分子構造の差異にも基づいて診断を行います。リアルタイムで癌病変や炎症性病変を識別でき、患者への負担も低いです。膣拡大鏡と併用すれば、この技術は子宮頸部の定期検診の効果を向上させます。

Q:この技術で考えられる応用可能性はどのようなものですか?
今後の研究に関する一つの方向は、消化管の前癌病変を検査する内視鏡検査で固有蛍光画像技術を用いることです。通常の内視鏡検査では、生検の結果と組織の形態学的変化に基づいて癌を診断しますが、前癌病変や早期の病変の発見は得意ではない可能性があります。特別な光ファイバーを使用して、内視鏡に特定の波長の光を送り込むことにより、検査する組織を刺激して固有蛍光を放出させることができます。その後シグナルが送り返され、リアルタイム診断に用いられるスペクトルとして表示されます。
さらにこの技術は、腸管、気管、および気管支の粘膜に存在する前癌病変の検査に応用することが可能です。私は肺癌の診断にこの技術が応用されることも期待しています。臨床医にとって有用なツールになると思っています。

 高品質な医療用製品の創造 -生標(上海)とSBMD- 

生标 (上海)医疗器械科技有限公司
2016年7月に設立。「前癌病変診断」の特許を保有。当該特許関連製品の臨床体制構築と販売を行っています。SBMDの大株主でもあります。

科学技術立国となるため、医療機器分野のイノベーションの促進は中国政府において大きな課題となっています。中国国内で高品質の医療機器製品を開発することで輸入への依存を低下させるため、生標(上海)Shengbiao Medical Equipment Technologyが2016年に設立されることになりました。生標(上海)Shengbiaoは医療機器の技術に重点的に取り組んでおり、医療機器のパイロット試験を行っています。同社は研究結果を新たな技術や商品に転換させることに重要な役割を担っており、医療機器産業における重要なギャップを埋めています。
同社は設立された2016年に、SBMD(Sun-Bio Medical Device株式会社)を日本に起業しました。SBMDは、肺癌に有効な新規の二重特異性抗体“YY0411”など、革新的な創薬や医療技術及び製品の開発と広報・販売に注力しています。
「研究開発(R & D)のために単に従業員の集団を集めたような多くのバイオテクノロジー企業とは異なり、私たちは人材に基づいた開発プラットフォームであり、会社の人材をバイオメディカル分野で活用しています。私たちは、研究によるイノベーションを目標となる市場に届けるために、研究機関とパートナー企業とを結び付けることによって、医療機器産業で他の企業を補完をしているのです」(姜 思維:生標(上海)Shengbiao 会長、SBMD取締役)。
 実際の開発の取り組みは有能な人材を誘致して行うのが、生標(上海)Shengbiao、及びSBMDの中核的な方針です。我々は投資のリスクを最少化するため、プロジェクトの確実性、実現可能性、将来性、および持続可能性を重視しています。「市場には高品質な医療機器への高い需要があり、これに対応して新たなラウンドを開始したいと考えていますが、その結果として利益の成長が見込めます。爆発的な売り上げが予測される持続可能な製品も有能な人材を引き付け、さらに力強い成長を企業にもたらします」(姜 思維)。

バイオメディカル技術提供企業として急成長

生標(上海)Shengbiao、及びSBMDは急速な成長を遂げることができました。生標(上海)Shengbiao、米国と欧州各1件ずつを含むいくつかの特許を申請しています。また蛍光による前癌病変診断の方法に関する特許を保有しています。
光線療法と画像診断技術は生標(上海)Shengbiaoの事業の核であり、現在ではさらに医薬品のイノベーション、特に癌に対する分子標的療法の分野に進出しています。生標(上海)Shengbiao、及びSBMDの研究開発チームによるDNA組み換え技術を用いた慎重な選別により発見した肺癌に対する二重特異性抗体である、“YY0411”は癌のドライバー遺伝子2種類を同時に標的とし、肺癌の治療と予後を向上させる画期的な医学的方法です。生標(上海)Shengbiao、及びSBMDはこの二重特異性抗体の特許登録を日本、中国、米国、及び欧州連合において出願しており、またその前臨床試験についての記事が質の高い国際学術誌”Nature”に発表されています。

提携を通じて一流のシンクタンクとなる

人材のプラットフォームとして質の高い提携関係を育てることは、生標(上海)Shengbiao、及びSBMDの研究開発事業にとって不可欠です。同社は世界の主要企業と協力関係を築き、また将来の研究開発や臨床試験に備えて海外の研究機関や病院とも提携関係を育てています。
一方で、地元の病院や研究施設とも強い関係を築きつつあります。例えば、同社の新たな医薬品の研究開発や臨床試験のために、同済大学医学部の関係機関である上海市肺科医院と強固な協力関係を築いています。
Shengbiao はまた、非凡な才能を持つ人材のネットワークを発展させることにより、自社の研究能力を強化することに非常に意欲的です。同社はSBMDと共に海外の専門家から成るチームを組織しており、その専門家には例えば、(スペイン)ア・コルーニャ大学病院胸部外科医のDiego Gonzales Rivas博士、肺癌手術の専門家である大阪大学大学院医学系研究科の奥村明之進教授、イタリアのPascale財団国立がん研究所で胸部外科部長を務めるGaetano Rocco博士、そしてニューヨーク大学医学部のHarvey Pass博士などが含まれ、これに加えて国内の各提携先に豊富な人材がいます。生標(上海)Shengbiao、及びSBMDは、プラットフォームを通じて主要企業、専門家、学者、および政府当局などと共に作業しながら、同社の研究で生まれたイノベーションにより医療応用の分野で最先端を進むことを目指しています。

社会への還元

生標(上海)Shengbiao、及びSBMDは社会的責任を課題の第一に据え、そのイノベーションを通じて社会福祉を向上させることを目標としています。同社のイノベーションや技術の多くはまだ前臨床ないし臨床試験の過程にありますが、それらは地域社会福祉を向上させる大きな潜在的可能性を秘めています。
生標(上海)Shengbiaoは社会への還元を任務の一部とし、公共福祉のプラットフォームを積極的に構築しています。公共サービスプログラムがいくつか計画されておりますが、その中には若い有能な人材を育成する目的で、中国国内の大学で学ぶ「Shengbiao奨学生」に資金援助する奨学基金プログラムなども含まれている。
生標(上海)Shengbiao、及びSBMDは「開かれたイノベーション」という理念を持ち、高品質な医療用製品を作り上げるために国際基準を順守してます。同社は規模拡大と品質改良のため、経営管理システムや経営機構を最適化し、自社やパートナー企業の人材を活用し、そして業界内の専門家と共に作業することにより、人材に基づいた研究開発プラットフォームを前進させる態勢を整えています。

 豊富な海外の専門化とのネットワーク

 生標(上海)Shengbiao、及びSBMDは、二重特異抗体“YY0411”の研究開発のために、海外の専門化をプロジェクトメンバーに迎え入れています。

DIEGO GONZALEZ RIVAS 医師

中国、同済大学、上海市肺科医院、単孔式胸腔鏡下手術(VATS)訓練プログラム主任
Sun-Bio Medical Device、革新的な医薬品研究のための国際的臨床基盤主任

 

GAETANO ROCCO 医師

イタリア、Pascale財団、国立がん研究所胸部外科主任
イタリア、Pascale財団、国立がん研究所胸部外科腫瘍科部長

 

HARVEY PASS 医師

米国、ニューヨーク大学Langone医療センター、外科教授
米国、ニューヨーク大学Langone医療センター、心臓胸部外科教授および研究副委員長

奥村明之進 医師

日本、大阪大学大学院医学系研究科一般胸部外科教授
日本胸部外科学会(JACS)第36回年次大会次期会長

 

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